大人になっても実はピアノをほめられたい。ということは・・・
大人になっても実はピアノをほめられたい。ということは・・・
ピアノを習いたい!スタートはやる気でいっぱい!
「ピアノを弾いてみたい」という気持ちは、なにがきっかけになるのか、生徒さんにたずねたり自分の経験から考えた時に、
☆テレビで聴いた曲がすてきだったから。
☆お友達が上手に弾いていたから。
☆弾けたらかっこよさそうだから。
など、その人によってさまざまです。
先日の大人の方のレッスンで、シューベルトのセレナーデをご紹介した時に、ふと見たら涙を流されていて驚いたことがありました。なんでも、韓流ドラマの中で流れていた曲らしく「きれいだな~」と以前から思っていたとのこと。なんの曲かは知らないままいたら、私が弾いたものがそれだったので、ご本人もびっくりするぐらい不意に涙が出たそうです。
こういうことが、人の心を一瞬で動かしてしまう音楽のエネルギーなのかもしれません。その方は、今もクラシックや歌謡曲など、左手はコード伴奏を使いながら(コード奏法というのは、またお話します)ピアノを楽しんでいらっしゃいます。
いくつになっても!
ピアノのレッスンが始まりドキドキワクワク、最初は家族など周りの人も、家の中でピアノの音が鳴っていること自体が新鮮です。
でも、何か月か経つと本人も周りも練習風景に慣れてきます。そして、だんだん「ちゃんと練習しなさいよ」の空気になり始め、もちろん練習がサクサク進めばよいのでしょうが、そうもいかない時もあります。すると「今日は練習したの?」「まだやってないの?」「もうおしまい?」というような声かけになってきますね。
数年前、私が実家でピアノの練習をしていた時のことです。となりのリビングに父の気配がありました。いつものように、ショパンの幻想曲だスケルツォだをにぎやかに弾き終えリビングに戻り、しばらくしてから、ふと自分の胸の中に、さびしさと空虚感を感じました。この気持ちはなんだろう?と考えた時に・・・
その時のピアノを聴いていたであろう父からの「いい曲だなあ」とか「がんばってるな」などの言葉を期待していた自分がいました。でも父は、その時特に何も言いませんでした。これまでに私のピアノの練習は充分に聞いているし、すっかり大人になっている娘に対して、励ましめいたものをいまさら80才の父が言うのもおかしいのかもしれませんが、私は大人そして講師になっても相変わらず、ピアノの対しての父からのホメ言葉や感想を待っていたのです。そんな気持ちが自分に今もあることに少し驚きました。
日常の練習そのものをほめましょう。ただし適度に。
仕上がった曲や舞台での演奏への言葉かけは、自然に出ますし、大きな励みや次へのモチベーションにつながります。だけどそれだけではなく、仕上げへ向けた日々の練習の中でこそ、家族など周りからのお声かけがとても効果的です。
「一か所だけ部分練習に時間をかけていた」「前に丸をもらった曲だけど久々に弾いたらちゃんと弾けていた」「昨日より速いテンポでまちがえず弾けた」など、ほんの少し耳をかたむけてみてください。なにか、キラっと光るホメ部分があると思います。
大事なことは、<やったことを、ほめる>ことです。いつもやたらほめる、だと、それはそれで慣れてしまうので、あくまで練習の中から見つけてみてください。「前よりまちがえず弾けてたね」「楽しい曲だね」そんな何気ない一言が、「きいてくれてるんだ」「もっときれいに弾いてみたい!」と、がんばりたい気持ちを育てていくと思います。
その練習そのものがなかなかないのよね~!というお母様・・・まずは少しだけでもピアノに向かうようお声かけしましょう(^-^)